IT産業の輸出額の増加がとまらない!影のIT輸出国ウクライナ

IT産業の輸出額の増加がとまらない!影のIT輸出国ウクライナ

ウクライナ といえば「美女」が多い国と言うことで有名だが、実はウクライナは影のIT輸出国としても頭角を現しているのだ。世界的に有名であるWhats appやPaypalの創業者もウクライナ人である。日本と距離も遠く、実際に未知である部分も多いウクライナ。その国の概要から近年のIT産業の変化についてをお伝えする。

ウクライナの基礎知識

国名:ウクライナ
首都:キエフ
面積:  603,628 km²
人口: 4,241万人(2017年:ウクライナ国家統計局)
通貨:フリヴニャ (1フリブニャ= 4.01円(2018/11/30 時点))
1991年にソ連から独立

Where?

ウクライナも日本と同様に四季が存在する。
10月〜4月の間はコートが必要。冬は−20度を記録するほどの寒さ。
夏は比較的涼しく、観光のベストシーズンは4月〜9月頃。

成長が止まらないIT産業

(出典: Ukrainian IT exports increase by 20% in 2017 to reach USD 3.6 billion/ Business Ukraineより)
近年成長が止まらないウクライナのIT産業。上記は2017年の統計のグラフである。
2015年には、2,7億ドルだった輸出額が、2017年には3.6億ドルにまでも成長しているのだ。

1年毎に約20%の成長を遂げている。2025年にはその輸出額は8.4億ドルにものぼり、国内GDPの4.65%を占めるようになると予測されている。また、エンジニアの総数も年々増えており、今後もIT産業の輸出は大幅に伸びていくことも期待される。まさに「IT産業の成長がとまらない国」なのだ。

急増するエンジニア。「Switcher」も多数

ウクライナでは現在エンジニアが急増中である。現在ウクライナは402の大学とカレッジ(短大)から毎年およそ36,000人以上のエンジニアを中心とした理系関連の技術者を輩出し続けている。

そして、大学から輩出される技術者のみならず、いわゆる「Suwitcher(移行者)」も多数存在している。エンジニアという職が持つ高い安定性と給与に魅力を感じ、エンジニアになる者も多いそうだ。

現在の日本でもよく見られるような民間のエンジニア育成プログラムなどで独学し、エンジニアになる人も急増している。

ウクライナ最大のオンライン開発コミュニティであるDOU.UAの調査によると、
2016年から2017年でこれらのIT人材は前年比で27%の約13万人増加したそうだ。これらの増加を見込んで、近年周辺の欧州諸国のIT企業が開発拠点をウクライナに移す動きも見られる。

開発拠点として最高の環境・人財

前述の通り、ウクライナはエンジニアが増加中である。それらに加えて、外資企業が拠点をつくる場所としては最高の環境が整っているのだ。

ウクライナのエンジニアの給与水準平均は約20,400ドル〜39,000ドル/年 程である。
エンジニアの給与水準としては決して安いというわけではない。
しかし、拠点を維持するための人件費(現地で事務職などを行うサポートスタッフ)は未だに大幅に低い。

したがって、現在ウクライナにR&Dの開発拠点をおく Samsung・Microsoft・IBMなどはこのような利点を利用して、現地の中小企業と協働で開発チームをつくるなどしている。

その他にも、ウクライナの多くのエンジニアは海外からのアウトソーシングにも慣れている上に、新しい技術の習得も早いため開発がスムーズにいきやすいという利点もあるのだ。

ITアウトソースに関する国際団体IAOPが発表した、アウトソース企業トップ100にはなんとウクライナから18社もランクインしている。

ほとんどの国民が英語を堪能に使えることや、地理的な要因などから欧州からの外注が増えているというのがこのような結果の要因であろう。
今後も、IT人材の増加は見込まれている。しかしこれらの情報を元にウクライナへ拠点を持つ企業ももちろん多数見込まれるので、早く行動した企業がこれらの人材を獲得していくであろう。

IT産業輸出国をつくりあげるアウトソーシング企業

IT産業輸出国とは言うものの、実際にどのような企業があるのかよく認知されていない。
そこで、以下では世界的に有名と言われるアウトソーシング企業を3社紹介する。

まとめ

ソ連から独立して約30年。農業国で有名であったこの国がたった30年でテクノロジー輸出国として急速に成長するこのスピードに今後も目が離せない。現在は「IT輸出国」として頭角を現しているものの、スタートアップの成長も見逃せない。

Snapchatに見られる、動画加工機能(口から虹が出たり、目を大きくしたり、宇宙人のように加工する機能)は、ウクライナのスタートアップLookseryを1億5,000万ドル(約160億円)で買収したことにより使用できる様になった。

この他にもGoogleやオラクルなどがウクライナのスタートアップを買収している例もある。これらのニュースはウクライナのスタートアップ界隈を盛り上げている重要なポイントであり、これらの企業に刺激を受けられるという環境にあるのもTech人材の情報感度を高める要因にあるのだろう。
しかしまだまだ、国内の情勢や景気の問題なども影響しており、当面は現在のように、アウトソーシングという形でのIT産業の発展が続くと思われる。
彼らの持つ技術力が今後もアップデートされるのは間違いないので、情報を定期的にキャッチして行く必要のある国であるだろう。
この状況に対して、情報感度の高い世界企業は既に動いていることもきちんと確認しておかねばならない。

【参考文献】

Ukrainian Venture Capital and Private Equity Overview 2017
https://www.slideshare.net/UVCA/ukrainian-venture-capital-and-private-equity-overview-2017-97295516

中東欧のテックハブ「ウクライナ」で活況するスタートアップシーン、WhatsApp・ペイパル創業者も輩出
https://amp.review/2018/03/17/ukraine/

Why Ukraine is well on the way to becoming a global tech powerhouse/Business Ukraine
https://bunews.com.ua/opinion/item/it-industry-why-ukraine-is-fast-becoming-a-leading-global-tech-powerhouse

Ukrainian IT exports increase by 20% in 2017 to reach USD 3.6 billion/ Business Ukraine
https://bunews.com.ua/economy/item/it-industry-ukrainian-it-exports-increase-by-20-in-2017-to-reach-usd-36-billion

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