「ペインの解決に向き合い続ける」タイで急成長するスタートアップの起業家が語るタイ市場で成長する秘訣【イベントレポート】

「ペインの解決に向き合い続ける」タイで急成長するスタートアップの起業家が語るタイ市場で成長する秘訣【イベントレポート】

11/07(水)タイ・バンコクのモンスターハブにて、在タイ日本人とタイ人向けにスタートアップイベントが開催された。
このイベントではタイで注目されているスタートアップ起業家が登壇し、セッションを通してタイスタートアップ事情についてのキャッチアップや日タイ間でのネットワーキング等を行なっていた。

今回登壇したタイスタートアップの起業家はSBIも投資しているタイのNo.1クラウド会計FlowAccount(フローアカウント)のKrid氏。そして、リクルートが投資しているWongnai(ウォンナイ)から1億円の調達をしたレストラン向けPOSシステムの提供をしているFoodstory(フードストーリー)のCEOのYim氏であった。

彼らによるトークセッションではタイで事業をグロースさせていったTipsのみならず、多くの起業家が考える投資家との関係の話題についても話が進められた。モデレーターはタイでHRTech事業を行う弊社CEO 越が務めた。

FlowAccount/ Foodstoryとは?

Flow Account(フローアカウント) 
タイでNo.1のシェアを誇るクラウド会計ソフト。約3万社がこのサービスを利用している。ウェブ版のみならずアプリでもサービスを展開している。

【特徴】
◆領収書をPDF or データで数分で作成することができる。
→顧客との領収書に関するやり取りもリンクもしくはメールでスムーズに行うことができる。
◆領収書の写真を撮影してアプリを通して読み込むことができる。
◆タイの銀行(カシコン銀行という大手バンク)のサービスとも提携
→給与管理等の収支もスムーズに進められる。
◆充実したカスタマーサポート
→スタートアップやSmall Businessを行う中小企業に向けて、低価格でサービスを提供するFlow Accountだからこそ提供できる充実したカスタマーサポート。定期的にセミナーなども行なっている。

Foodstory(フードストーリー)

i Padでレストラン向けのPOSシステムのサービスを提供している企業。月1250バーツ(約4000円)〜サービスを展開している。現在は約500店舗以上の飲食店がこのサービスを利用している。

【特徴】
◆露店からFood Truck、レストラン、バー等ほとんどの飲食店で使用することができる。
◆カスタマーの決済から在庫(材料)のマネジメント、その他の詳細分析までを行う。
◆カスタマーがこのサービスを利用してメニューを選ぶこともできる。
(写真付きで選べるので外国人観光客などにも優しい。)

FlowAccount×Foodstory トークセッション

タイで多くのクライアントを抱え、タイスタートアップの中でも注目されているFlow Account(フローアカウント)とFoodstory(フードストーリー)。彼らがタイ市場の中でここまで事業をグロースさせることができたポイントについて語った。

成功の尺度と事業の価値

Yim
経営者としていかにチームのモチベーションを維持し続けるかというポイントが一番重要であったと思います。最初の3年は十分な収入はなく、その状況で僕以外の4名のエンジニアというチームメンバーに対して、我々が描くビジネスの価値をいかにして伝えるかが何よりも大事でした。これらを続けてきた結果現在も、このメンバーとは現在も共に事業をつくることができています。

私は彼らに、
僕は今「会社」をやっているのではない。みんなでひとつの「家」を創り上げているのだ。と伝え続け、
そしてその「家」を作っていく過程で、共にその家を進化させながら中身を充実させていこう。何よりもこのチームひとりひとりのために一緒に会社を大きくしていきたいんだ!と伝え続けながら現在までやってまいりました。

Krid
FlowAccount(フローアカウント)を起業するまでも別の事業を行なっていたりして、現在のFlow Account(フローアカウント)の起業にたどり着くまで紆余曲折しましたが、現在のFlowAccount(フローアカウント)を起業して、1番のキーポイントとなったのははタイ国内等で開催される様々なピッチングですね。2015年の9月にピッチングで投資を勝ち取ることができてからは軌道に乗り始めることができたと思っています。

軌道に乗り始めるまでには、チームのメンバーに対して十分な給与を出す事ができませんでした。それでも今まで一緒に働いてくれている仲間にはとにかく感謝しています。

事業を成長させるために必要なことはとにかく「やり続けること」だと思っています。

そして成功の尺度自体を自分自身で定義する必要もあるのかなと。
そして、自分たちで定義した「成功の尺度」に対してその価値を信じ続けることが大事なのではないかと考えています。

例を挙げると我々の場合は、成功の尺度を 「カスタマー(Small businessを行う起業家や、中小企業)が感じるペイン(会計に関する煩雑さ)を取り除いて、事業家たちが彼ら自身の事業に集中できる環境をつくること」においています。だからこそこの成功の尺度が我々の価値となり、事業の成長につながっているのではないかと。しかし、それでもまだまだ成長途中ですので、今後もより多くの企業のために努力を重ねていきたいと思っております。

そこから、次は彼らが反省している点や失敗したと感じている点についての話へと議論が展開した。急速にグロースした彼らにも、「資金調達」というトピックが頭を悩ませていた。

スタートアップにおける資金調達のタイミングの重要性

Yim
資金調達をもっと早くしていればよかったという反省があります。
というのも、資金調達を受けるチャンスはいくつかありましたが、自社の市場価値は投資家に示されるバリエーションよりももっと高いと思っていたことからそれらの投資案件を断ることもしばしばありました。6年目にしてやっと資金調達を初めて行なったのですが、早く投資を受けていれば今以上にグロースしていたかもしれないと反省することも少しあります。

特に我々がやっているテクノロジーの分野はたった1年でも大きく変化します。その状況の中で事業をする企業としてはやはり、資金調達を早めにして開発を強化し、グロースさせる必要があると感じることもありますね。

Krid
投資家からの資金調達が全てというわけではないとは感じています。
というのも、タイミングによって必要になるコスト次第で投資家からの調達の有無は異なると考えているからです。我々の場合ですと、我々の顧客のほとんどは中小企業やシード期のスタートアップなどの企業に属しています。となると、開発を充実させるための資金の調達に関しては彼らからの収入で賄うことは難しいので、投資家からの調達をする他ありません。だからこそ、私は投資家からの資金調達という手段を選びました。

ちなみに私の資金調達のときの話をすると、我々のビジネスが非常にシンプルであるがゆえに、このサービスの価値をなかなか投資家の方々に理解してもらえず苦労しました。しかしやはり資金調達の面に関してもピッチングでチャンスを掴むことができました。このピッチングで資金調達を一度して頂いた後もこのピッチングで出会った投資家の支援などを得て、今に至るまでグロースさせていくことができました。

その後の質疑応答にて「投資家から投資をうけるお金以外の価値とは?」という質問がでた。
多くの起業家が一度は考えるであろう「投資」という話題に対して2人なりの価値を伝えた。

お金以外の面で投資を受けるバリューとは?

Yim
投資家が日本の企業とのコネクションなども持っていたおかげで、我々と似たスタイルで事業を行う日本の企業を訪問させて頂けました。この繋がりのおかげで、日本の市場についての調査などもできましたし、自分の事業に繋がるようなアイデアなどももらえたりできて非常に役に立ったと思っています。

それだけではなく、私が投資を受けているWongnai(ウォンナイ)の投資家である日本のリクルートの投資先にも我々と同じような分野の企業が多いため、我々のターゲットとする市場にも詳しく、市場をより深く理解するという点において非常に助けられています。

Krid
私が投資を受けたカシコン銀行のファンド自体が元々顧客チャンネルを持っており、顧客獲得という点において非常に助けられました。また、もう一つ投資を受けているSBI からは、日本のマーケットに対しての理解を深めさせてもらう機会を提供していただいたりして、非常に助けられています。

私の一意見ではありますが、起業家は投資を受ける際に、きちんと投資家に対して「お金以外でその投資家はどんなバリューを提供できるのか?」という質問は事前にしておいたほうが良いと思っています。
その時点で、起業家が価値を感じることができたらもちろん投資を受けて良いと思いますし、反対に価値を感じることができなければ投資を受けないという決断も必要であると思います。

今回はタイスタートアップの起業家によるトークセッションであったが、日本の起業家にも共通して参考になるであろうポイントは多く見られた。

✓起業家が投資を受けるファンドを選ぶ基準として「専門性」「提供価値」は重要。
成長の尺度に対してお金という指標以外にも、「何に価値を置くのか?」という価値軸とその評価基準をきちんと自社内で定義することも重要。

2人の起業家から、参加者は様々なことを学んだのではないだろうか。
非常に大盛況で、満足度の高い会になったとの声も多数耳にした。
文化や価値観の違いからも日本のマーケットとは大きく異なるものがある。しかし、そのベースの違いゆえに見つかる価値や視点が海外のイベントからも得られると考える。今後もGlobity編集部として多くの日本人へとこれらの情報を共有していきたい。

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